流れ/渡辺亘
流れは存在する
清く
深く
蒼く
さわやかに
存在する
その流れを一口飲めば
躰はさわやかに
心は爽快に
回復する
流れは甚深
流れは濃厚
この流れを口にするために
古来
様々な人々が
この奥地に訪れようとしたが
あるいは千尋の谷に落ち
あるいは峨々たる山脈に阻まれ
その命を落とす
流れはどこにあるのか
流れはどこにあるのか
人々は彷徨い
疲れ果て
朽ちていった
流れは
命の奥にある聖地
誰も見たことのない聖地
滾々と流れいずる
蒼き泉は
誰も見たことがない
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