小集 「夜巡り」/紫音
 
陽の光指のフレームに切り取ると世界は消えて残る面影

携帯を開いては閉じリズム取り鳴らない音に膝が震える

夜道さえ静かならざる都市だからせめて黙って紫煙燻らせ

向こう側テレビに映る鏡像に問いかけてみよ 生きる何者

笑い声交じらぬ耳には耳障り十歩離れた身は目障りで

こころ剃髪からだ暴発 空回り踊る阿呆を見る阿呆

ハリネズミ目にはシャッター心に壁を スクランブルで立ち竦む葦

指踊り黒鍵だけで弾き語り夢無き舞台が塗り潰されて

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