コロコロ/眼の誕生/瓜田タカヤ
 


家族で夕食時にマグロの刺身が12切れ出され
 それに醤油をつけて食べるのが
  キチガイ沙汰に見えて家を後にした
 
斑は肉を冷やす吹雪の真夜中を彷徨き
 月光の木漏れ日が唯一の動力源に気づいた

触覚が巨大を弄び
 シャーベットの荒野できらめいた

椅子が人肉のように見えて放漫な質感におびえて勃起した

頭とヒゲを何度も触り
 半開きの眼で光源の記憶を列記し
 
黒く濡れたヒダの連なりや肉塊ごと跳ね回る幾度もの死を反芻し 
 骨折した子供をどこにも連れて行かない重力に押しつぶされた

高音で黒鍵のみを響かせる笑い声の内部に私は沈殿して
 筋繊維が溶解しほどけていく世界にいた

もしも脳みそが巨大な眼なら
 頭を割られるまではめくらだろう

 眼球が転がり
 光りを探す
 意味など要らぬ 

ただひかりをさがす
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