鬼軍曹コアラ!/結城 森士
いお手手がチョコンと当たっただけだった。
新垣がコアラを市川の頭から引っぺがした。
「おのれ新垣!貴様この私を片手で持ち上げおって!離せ!離せぃ!」
コアラは短い手足をじたばたさせながら抵抗した。
「……貴方は本当にあの権藤軍曹なのですか?」
「ふん!決まってるだろう!私もなぜこのような姿になったのか詳しくは分からんがな」
少しずつ正気を取り戻し始めた市川が呼吸を整えながら聞いた。
「ぶ、部隊は…?我々の部隊は一体…!?」
「……うむ。残念なことに……」
コアラは言いかけて俯き、そして長い間黙った。コアラの両目に光るものが見えた。市川と新垣は事態を悟った。
「やはり全滅
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