十年の、事実/プテラノドン
 
けようとした友だちが
地面にどんぶりを落っことした時だ。

「こんな風に笑ったのはいつ以来だろう。」
そう言った友だちが、
彼女と別れた経緯を、
その娘が流産した話を、彼女が今は他の男と一緒に暮らしていると、
夏に浜辺で酔っ払って寝そべりがら話した時以来だっただろうか。

「こんな風に笑うなんてね。」僕は言った。
分かるだろうか?僕らが知り合って十年。
やってきたのがそれだ。今さら引き返そうったって無理。

 高校二年の梅雨。天候をぬきにしても
べとついた中華料理屋のテーブルの上には、
空っぽのジョッキと食べかけの酢豚ー、僕らはすでに
そこに居なかった。煙りが立ち込
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