/佐藤犀星
 
「おはようございます、佐藤さん」
あぁ、おはよう。
目覚めはコンピューターとの挨拶から始まる。
鏡を見ると、そこにはこの世のものとは思えないハンサムがいた。俺のことだがね。
食卓には食塩と胡椒とガソリンがおいてあった。
おいおい、これでどんな朝食を食えと言うんだい、キャサリン・F・真理子。
キャサリン・F・真理子は万能お手伝いアンドロイド(通称キャシー)だったが、年代物で、特にルックスは時代遅れだった。
「故障と胡椒をかけたのですわ、ミスタ佐藤」
そんなことより、ネクタイの今日の柄を考えてくれキャシー。この世のものとは思えないほどハンサムなこの俺に似合うゴージャスなネクタイをね。
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