「オルゴール」 (リレー小説・三題噺)/佐藤犀星
はよくないことよ」
幼馴染みの彼女はいつものように遠慮のない物言いで、私のベッドに腰掛けた。そう言う彼女もこの邸の書斎にはかなりお世話になっているのだが、そんなことはもうすっかり忘れて、私にお説教をするためにわざわざ訪ねてくる。(モリ・1回目)
「あら、ずいぶん古いオルゴール」
彼女は、いつのまにかおじい様の机の引き出しを開けて、埃まみれのオルゴールを取り出していた。
「勝手にあけないで」
慌てて彼女の手からオルゴールを奪い取った。中には絶対に見られたくないものが入っていたのだ。(佐藤・1回目)
「何、その言い方」
「おじい様のものを、勝手に触らないで」
彼女は少
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