山上ノ儀式 /
服部 剛
旅先の六甲山頂で酔いどれて
飲み干したビールの空缶を
目一杯に、握り潰す。
それは寂しがり屋な自らに
凍てついた手を振る、
決別の儀式。
あるみにうむの如き
軟弱だった亡骸を
山頂に置いて
孵化した真新しい私は
凡庸な日々へ、下山する。
戻る
編
削
Point
(1)