港/K.SATO
 
夜の工業地帯を歩いていく
いくつもの照明の光とその
いくつもの色とで 僕はぼんやりと
何もかもを失っていくような気がした

うなづいていた
友人の会社が最近倒産したらしく
顔を合わせない友人と飲み
独り言を聞いていた 

テーブルの上にタバコが燃え
破片を指につけながらいろいろと
遠くでは4チャンネルのナイターをやっていて
ナイターにいろいろな心を洗われていた

桟橋の方から 赤、白、黄に、小型ボートがやってきて
白波と 向こうの
緑、オレンジ、ピンクたちできれいな音楽に思えた
新宿の光と

ビンを思い切り投げた僕
肩や首にラベルが
きらめいていく あのころのおまえに戻ってくれと
きっといつまでも いつまでも
落ちないであろうと 
テトラに小さな思いを託した
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