ひとりぼっち/瀬田行生
 



一人ぼっちに なりたい なりたいって言ってた
私がついに一人ぼっちになった
二人でいることのわずらわしさばっかり
わかったつもりでいた私が一人ぼっちになった

そう思うとこの町は楽しいことばっかりだったな
いつも人の絶えないゲームセンター
電車がつくたびに人をたくさん吐き出す駅
何故だか水曜日休みのお風呂屋さん
火曜日 朝まで馬鹿なことやって汗まみれ
苦笑いで風呂屋の前で座り込んでたっけ
ベッドに一日寝転びながら 携帯の電源わざと切った
それで少ししみのついた天井を見ながら

一人なら楽なのに

ってつぶやいてたのが
昨日のことのよう

そういえば 一昨日 少し遠出したスーパーの近くに映画館があって
その大きな看板に昔一緒にいこうって約束した
映画があった
私はあんまり見たくなかったけど
どうしてもって言うから その顔に負けて私が折れたんだっけ

財布の中身は 月末近くの1374円
少し足りない
私はいつも「こう」なんだ

一人ぼっちになりたいなりたいといってた
私が
一人ぼっちになった

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