港の囁き 〜 神戸港にて ? 〜 /服部 剛
 
五年前のあの日のように 
神戸港の広場で 
石段に腰かけ 
体を反らし 
旅先の空を仰げば 

ふたつの雲は 
互いにゆっくり 
近づいて 

( 異なるものは些細なことで 
( あの日は夏の入道雲で 
( 今日は冬の真綿雲・・・ 

やがて顔の形をした雲は 
互いの唇を結び 
ハート型の雲間に 
神戸の青い空が覗いた 

振り返った背後に 
先ほどまで 
愛を囁いていた 
ふたりはいつのまに 
姿を消していた 

港には只 
静かに打ち寄せる波だけが 
繰り返し響いていた・・・ 

ふたりは何処か 
菜の花畑の広がるような
秘密の国へ 
いったのでしょう 







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