釣り/K.SATO
ゆらめいて停泊した小船を
釣れない男の影が行く
ララと煙突から紫色の煙 モクモク…
ララララ君は…
小田さんの透き通ったささやきが 黄色く
ススキの揺れる湾口で
僕の皮膚に
カチカチと揺れる ロッドの先
僕は目だった
重く響く、エンジンの音
キーを回して しばらく車を温めよう。
海の メタリックブルーカラー
きらきらした夜が 香水に 現実の狭間みたい
ドライブに入れる
パサパサと蝶が鱗粉を様々に散らす
ぼやっとマフラーが吐く
ラジオのボタンを押しながら 木枯らしの縁側を
様々に 鼻をくゆらすたき火かガスか でも
曲名はなにか忘れた ああ 流れて
車は止まった
僕は赤の信号機の目だった
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