( 六甲山から夜景を・・・ ) /服部 剛
 
山の向こうに広がる街が 
何処までも小さく
遠のいてゆきます 

六甲山の只中を上る
ロープウェイは吊るされて 
私は山間の上に 
宙に浮いたまま立つように 

地上で仰いでいた杉達が 
足元から 
僕等を呼びかけるように 
肩を組んで身を揺らしています  





ケーブルカーはがたがたと 
陽も暮れかけた六甲山から 
地上の星が灯り始めた神戸の街へ 
急坂の速度を抑えるように 
がたがた下ってゆきました 

薄明かりの車内では
最前列に父と少年 
通路越しの隣に母と少女 

後ろの席で僕は 
何冊もの詩集を詰めこんだ 
大きいビニー
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