六甲山頂で叫ぶ/服部 剛
 
 


旅人をもてなす暖炉のような 
友の手紙ほどに 
独り旅のこの身にとって 
ありがたいものはない・・・ 


おぉ眼下に霞む神戸の海よ・・・! 
山頂の塔で真っ赤な顔して寝転んで 
のたうちながら仰ぐ 
視界いっぱいの空に 
今日も流離う浮雲等の間から
日輪の光の柱は幾筋も 
放たれている 


らがーびーるの空き缶を 
握りつぶして 
コートのポケットに突っ込んだ俺は  

山頂の塔の上で
只独り 
真っ赤な顔を凍てつく風に 
嬲られながら 
寒さに痛む手で 
ペンを握りながら 

一心に 
只一心に 

阿呆のように詩をうたう 


全世界を司る 
神なる者のような 
浮雲に透けるあの日輪に向かって 
この両手を、合わせる。 







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