六甲山頂で叫ぶ/服部 剛
もし、詩を書くんなら今しかない・・・!
って思ってね
旅人の俺は今±0℃の六甲山頂の塔の上で
らがーびーるの空き缶を手に
凍てつく風に吹かれながら
真っ赤な顔を嬲(なぶ)られながら
正面に雲から顔を出した
日輪の輝きに向かって
精一杯に
ふらつきながら
数日前
心の闇の樹海を彷徨った
友の名を叫ぶ
とものぉ〜〜〜・・・!
六甲山頂までの道順を
教えてくれた友の手紙は
財布の中から取り出して
酔っ払った僕の手から放たれ
宙に舞う
凍てつく風は
真っ赤な顔で寂しく震える
この俺を包み込む
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