甘い果実/瀬田行生
叶わない夢があったわけで
あなたは
そのなんていうか
ブラウン管の中で
夢を与える
夢を与える事を生業としている
私は私で毎日毎日
あなたを見ている
感動を呼ぶ出来事も
あなたともに
笑うときも
あなたとともに
今このときを地球のどこかで
息をして生きているあなたは一体どんなヒトなのですか?
このブラウン管のままですか?
それとも・・・
そんなはずはないはず
現実と虚構の狭間で
麻痺している
今日は夢の中ですらあなたを見ていた
もう一日どんな時でも
あなたから離れることはない
ブラウン管のなかではプリントされたような笑顔を浮かべる
あなたの紅い唇を
静かになぞっていた
ガラスの画面に向かって
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