ザン/
 
誰も知らない月の海で

明日、人魚が歌います


僕らが生まれた日のことと
サボテンが
初めて棘をもった日のこと

空爆の空を見上げた最期の視界(ヴィジョン)や
ゴルゴダの丘の話
戦士たちの昨日の食事と

輪廻する輪から外れた果ての喜びと寂しさも


人魚は歌います


光も届かぬ海の底でも
眼(まなこ)は無くとも命を奏でる魚がいること
ゆっくりとした呼吸のリズムで
全ての子どもは愛されるべきであるということと
生きることは論理そのものであり
神さまは何も期待していないということも


明日、人魚は歌います

あなたにとっての明
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