「不思議の国のアリス」に尽いて 〜児玉あゆみ・覚書〜 /服部 剛
(本当の何か)を伝える者なのかも知れない。児玉あゆ
みという詩人は一人の女として幸福を求めながらも、個
人の幸福のみでは納まりきらぬ人間の幸福を探し求めて
いることが、この詩と朗読時の偽りの無い叫びから、理
屈抜きに伝わって来る。(人間は皆同じ体と心を持ち、
上も下も無い)というメッセージは、幸福だった時期を
抜け出した詩人が夜の路上で独り立ち、胸の奥に在る真
実の言霊を語った、人間の普遍的な宣言であり、そこに
詩人の最も大切な人間観が垣間見えるのである。
そして、この詩について僕が一番大事だと思うのは、
詩人自らが「アリス」となり、この世を「不思議の国」
と重
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