宇宙の朝食/散布すべき薬物の所持
 
。肉が煮込み終わる前に野菜とコンソメを入れ、さらに煮込む。私は赤ん坊のポトフが好きだ。もちろん味もだが、何より、完成品の宇宙的な母胎を感じさせる姿が好きだ。私はこの料理が完成する度に、射精する。赤ん坊が半透明のコンソメ色に染まってぷかぷかと圧力鍋の中に浮いている光景。それは、さながら羊水の中で夢を見ている胎児のように美しく、神々しい。キラキラと輝く油の玉が胎児の体をより一層輝かせ、また、浮かぶ野菜の人工的な断面ばかりが無機質に漂う羊水の残忍さを確認させ、宇宙の意識をそこから汲み取る事で、私は胎内を感じ、達するのだ。しかし、射精というのは所詮一時的なものにすぎない。私はすぐに下着を替え、赤ん坊のポトフを食するのだ。



…現在はAM 9:32である。

私は明日の食材を探しに出かけなければならない。
どうも口の中が不快だと思ったら、赤ん坊の眼球の壁と思わしきものが舌の裏に張り付いていた。私はそれを吐きだすと、産業廃棄物の空を見上げながら、
「ごちそうさまでした」
、と小さく唸った。
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