ことばのさんすう・1・1/れつら
 
い。
例えば、範囲かもしれない。すると結ばれ方は変化する。「気持」のなかに転がる個としての「林檎」。これが素直な解釈か否かは別として、その可能性は孕んでいる。1でありながら複数を孕む、ということは、例えばこういう現われかたをする。


ともあれ「林檎」は「一つ」である。
しかし、その前の「気持」と絡み合うことで、「林檎」を取り巻く風景はどこまでも広がりを見せる。「林檎」と「気持」を同一とみなすにせよ、「林檎」を取り巻く全体が「気持」であるにせよ、「気持」をあらわすために書き手によって広げられた範囲、その収束点として「一つ」の「林檎」がある。決定不可能な「気持」のかたちを、「林檎」の転がりは決定しないまま、しかし「林檎」は日の光を受けている。

「ひとつの詩」とは、例えばこういうことだ。



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