この冬 最初の雪/高杉芹香
 
あのことばも

あの優しさも

嘘だったんだと

思いたかった





そう思った方が

きっと

きみを想わないでいられるから






夜になって急激に冷え込む街は

雨に濡れていた






愛ゆえに

泣きながら



ただ歩くには

明るすぎる街だった







きみの優しさが恋しい

きみのあの声が愛しい







もう

大丈夫






ううん





本当は

初めから大丈夫だった






きみは
[次のページ]
戻る   Point(2)