ソルファの口付け/
梨玖
声を忘れて生きたくせに
唄いたいと呟いてどうして泣くの
与えられてしまった曲線は
繋げることはできなかったの
ソルファ、
「懐かしい」に似た感情を
もう思い出せないね
聞こえないね
限界が近いよ
柔らかく塞がれた声の出口は
ソルファ、
その繋げない唄で埋まっていたのを
貴方は知っていたの
飾った歌声で、凍らせた泣き声で
あいしていると、いとしいと、その似た目で言わないで
だってもう僕は歌えない
だってもう貴方は唄えない
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