待ちびと/
服部 剛
に溶け合って
凭れたまんま
袖口から出た面長の手に
(一つの雲の浮いている空色の封筒)を
ぎこちなくも握ったまんま
少女宛の恋文を
投函できずにいたのです・・・
やがてすっかり夜も更けて
四角い顔のあぱーとは
闇に姿を消しました
玄関の扉の上の
ほの赤い洋燈のみが
いつまでも
ぽうっと
闇に灯っています
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