心の難解さへと向かう試み/岡部淳太郎
? もしかしたら「心から出たもの」という定義によりかかって、心への踏みこみが足りていないではないか? そういう問いかけを自らに対して行なうことは有用だと思う。「心から出たもの」という定義はよくよく考えてみれば便利なもので、一種の免罪符にもなりえてしまうところがある。「あなたは自分の詩を真剣に書いているのか?」という他者からの問いかけに対して、「心から出たものだから真剣なんだ」という言葉ひとつで済ませてしまえるような危うさがある。その実、自らの心への踏みこみが足りずに表面でさらっと流してしまっているようなケースもありうるにも関わらず、「心から出た」というだけで他者を黙らせ自分自身をごまかしてしまえる
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