カコ/
 
カコ、

君には何度も傷つけられた

取り戻すことのできない言葉や
その逆で飲み込まれていった願いのようなもの
止められなかった衝動と
もう会えなくなった人たちの背中

カコ、私は君に対して実に無力だ

夜、眠りにつこうとする私に
君は何度もコールする
けたたましいほどの心音で


忘れることなどできないのでしょう
忘れてしまえば
あなたはどこにもいなくなるもの

その通りだカコ、私は

薄っぺらい人生を
どうしようもなく非力に生きてきた
だからいつも君にすがりまた傷つき

懊悩しては苦虫を噛み潰す

その顔は何かから目を背けた猫と
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