世界で一番美しい花 /
服部 剛
人もまばらな
二十一時のファミレスで
夕食を終えて
耳に入れたイヤフォンから
君が語りかける声を聴く
「 あなたは今、何処にいて
何を美しいと思っていますか 」
テーブルの上には
コップに生けた小さい向日葵が二輪
枯れて萎(しな)びそうな笑顔を
精一杯咲かせようと
茎の背骨で立っている
向かいの空席から
こちらに微笑む
透き通った君の面影
僕は音の無い声で
独り呟く
「 世界で一番美しい花は・・・ 」
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