告白 /服部 剛
 
もし愛というものを 
真正面からみつめたら 
それは幻と消えるでしょう 

もし愛というものを 
少しずらしてみつめたら 
うっすらと立つ 
透明な詩人像は 
僕等の前に両手を広げるでしょう

君の血と涙の滴りは
絶え間なく 
深夜のBarカウンターの隅で 
鼓動を刻む 
メトロノームのリズムで 
果実酒のグラスに 
落下する 
数珠連なりの宝石で
幾重もの水滴の輪を今夜も
広げている

一日の終わりに 
ベッドサイドの灯りの下 
君の書いた少女の物語を広げる 
密かな幸福のひと時 

空白の頁に滴る 
血と涙の滴 
の音に 
やがて瞼は重くなり 

胸に置いた本に 
両手を重ね 
伝えられない二文字の言葉を隠すように 
僕はふたつの瞳を閉じた 







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