哀しみは河の流れのように/渡辺亘
 
哀しみが河の流れのようだとしたら
流れはどこまで
どこまで続くのだろう
喜びの大海へと
流れこむ様が
僕には見えない
見えない程遠く
遠く

哀しみが大地にしっかりと
根付いているとしたら
喜びの大輪はいつ咲くのだろう
冬の大地は固く
冷たい
春は遠く
遠く

哀しみの青空が
どこまでも
どこまでも広がっているとしたら
青空は深く
深く
どこまでも深く
底が見えない
きっと哀しみは
そこにあるだけで
尊く
深いのだろう

哀しみの星々が
どこまでも哀しく
輝いているとしたら
喜びの太陽は
いつになったら昇るのだろう
闇は深く
深く
暁は遠い

喜びの虹は
そこにあるだけで
そこにあるだけで
尊いのだろう
きっとそれは
幻に似ているけど
必ずやってくる
朝日のようなものだろう
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