書くこと、まどろむこと、決めること/渡邉建志
いくこと。
彼の花が海中に咲いているように見えたり、ふしぎな香りをまわりにまとっているように見えたり、すいこまれるような気持ちになったり
するのは、それが「これ」という名指しをしているのではなく、話し相手に「このようなもの」と伝えてあとは想像してみて、と言っているから
ではないかと思う。
中期スクリャービンが何度も言いよどむのも、また。
でも、断言をしないで、海の中のようであり、霧の中のようでもある、眠りながら起きているような、作品が存在するためには、
その作品を存在させるための実力
(なんという場違いな言葉をわたしは使わざるを得ないのだろう!)
をつけておかなければならないし
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