時間/AKiHiCo
 
部屋に時計を掛けた
針はあの時から動かしていない
半ば諦めを含んだ空模様
まるで僕の心みたいに
溜息を舌の上で転がして遊ぶ

――戻りたい戻れない
動けない動きたくない――
(でも本当は知っている)

この部屋だけは過去も未来も
この部屋だけは止まったまま
この部屋だけは只管に不変的
この部屋だけこの部屋だけこの部屋だけは
この部屋だけは
この部屋――

時計の針は一時十六分
何の時間かは忘れてしまった
けれど
其処から前へ進めなくて
後ろは崖で奈落
意味のないような時間の中を
寡黙に佇み僕は宛ても無く


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