公園/水町綜助
 
うに笑っている。
年長の子が立ち上がって男の子に向かって駆けだした。
男の子も突風に煽られた紙切れみたいに背を向けて勢いよく走り出した。
しかし、少年は公園の入り口を出たところで急に立ち止まると、男の子に向けて大きく手を振った。
横断歩道を渡りきったところでそれに気づいた男の子は、走りながら反射的に手を振りかえしたが、すぐ止まって少年を振り返った。
「帰っちゃうよ」
大きな声で呼びかける。
少年はそれにもう一度手を振って答えると、砂場に引き返して、また山を固め始めた。
男の子は走って家へと帰って行った。

僕の携帯電話が鳴った。
アルバイト先からの電話だった。
「どこにいるの?」

「公園」
少しぼんやりしながら僕はこたえた。

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