キスの理由/
高杉芹香
きみは少し気付いていた。
もう、あたしがきみに恋してないことを。
久しぶりに部屋にやってきたきみは
うちの壁に飾る
シャツや写真や手紙とか
きみに関係ないものたちを
やけに気にしていた。
何度も何度も
それについて聞いて来ていた。
ふーん・・・
って言うきみの横顔が
少しさびしかった。
きみは大切な理解者。
けど。
もう恋人じゃないんだ。
あたしは
きみに出会った理由を考えてい
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