硝子の灰皿 〜亡き友との対話〜 /服部 剛
 
生前の君と最後に語り合った 
このCafeに来るといつも 
テーブルに一つ  
硝子の灰皿を置いてもらう 

向かいの空席に 
ぼんやりと君の面影を浮かべ 
日頃誰にも言えない 
秘密さえ 
僕はそっと、打ち明ける。  

テーブル越しに 
こちらへ漂う 
煙草の薫り 

テーブルの上に 
ふわっと昇る 
見えない煙 

丸く澄んだふたつの瞳と 
目を合わせる 


( 君ハ僕ノ、永遠ノ友達・・・ )


ふと現れた細長い指から 
硝子の皿へ 
静かに灰は、降りつもる・・・ 

茶色い壁に埋め込まれた 
丸いスピーカーから 
流れ始めた 
希望のうたに 

最近俯いていた顔を 
思わず僕は、上げていた。 







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