美しさ/さとう 星子
 
寂しさなんて
私にはありませんよ

削ぎ落として
削ぎ落として

すべてを研ぎ澄ませて
耳はピンと立てて
背骨はいつも白

人間なんて
みんなひとりで死んでゆくのだから

涙なんて
私にはありませんよ

右の手は
左手で補えるし

ぽっかりと
空を見上げた

「美しいなぁ」

美しいね
美しいね

そのことは
誰かに言ってみたいと思った

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