ながもの /服部 剛
 
天性の間の悪さで 
お土産のケーキを買いそびれたまま 
友達の住む秩父まで着いてしまったので 
仲通り商店街をきょろきょろ 
見回しながら歩く 

古い売店の前に 
ぶら下がる 
1本の長ぁ〜いふ菓子の 
密かな呼び声にふらふら吸い寄せられて 

( これを買い、集まる皆で分けて食おう・・・ ) 

待ち合わせの改札に皆が見えて 
黒字で( 大黒棒 )と書かれた腕より長いその棒を 
遠慮がちにふりあげて 
「 やぁ 」と言ったら 
こちらを向く皆の顔が揃ってほぐれた 

友達の家に行き 
ご馳走食べて語らって 
いつのまにやら 
窓外の秩父の山間に夕陽は
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