ニセモノピカソが世界を仮縫いする日/紫音
 
空が裂けた日 しょうがないので仮縫いをしておいた
そのままでは不恰好なので しょうがないので眼帯を被せてみた
パッチワークの空は化膿していた
ちょっとだけ 芯があった

ところで

空が避けていることを 僕以外知らない 気づきもしない
パンパンに膨らんだ風船が避ける音は
空には響かないから 誰もわからない

鉄板の上のキャベツが縮んでいく
熱くて狭くて小さくなって
裂けた空はまだまだ広いけれど
足裏にはもう踊る場所も残っていない
蛸が踊るくらいにはバチバチと弾けるけれど

飛び跳ねる油
虹色の油脂膜は弾け消え
不恰好なお好み焼きだけが布団代わりに敷かれている
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