嫉妬/K.SATO
何やってんだろう…
僕は憶することなく
歩く 歩いていないことなんて
歩むは楽しい 僕は
止まる 恐れを進み
橋をわたるのは 手で
指先に力をこめて
ペンへと手で
拳で進む
線をつけ
何やってんだろう 冬は僕の
鼻っつらを締め付ける
中にこの痛みを
ふるえへと刺し
何やってんだろう 薄く
ベージュの紙に
砂粒を模した並び 声を
表にこすった指紋の
中では何やってんだろう が休みに
人の肌みたいに ああ
何やってんだろう、と ひっそり
つぶやく また 俺は、何やってんだっって
レコード屋の回る円盤形を
コンパスにひねって きらめくと
指に跡が並んでいる
巡る液に
何やってんだ なんて あの時
声を突然 出してごめん
冬の曇りの日に僕は、僕でいたかった
進まない詩で 流れや曲 冬の
小枝にしか見ぬ君に
嫉妬しちまった
苦し紛れに…
芽を出す春を待ち
静かに詩を綴っている
爆発しかけは 隠した
焦げ茶色の土の下に
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