雨音光、少女の運ぶ/石田 圭太
 
流れる水辺にあって、冬の光が
点っている。てらてらとここは
静か。見えないものに、触れた
ことのない。めくらの。薄く紅
挿す頬のあどけない。水掻きの
広く、長い指の掬えない。指間
指間から零れては、てらてら。
水平線に向かって、穏やかに集
約していくものに目を焼かれた
。地平線、空平線、あらゆる線
のみえる風景のことをだ


ろっ骨に水
やさしく澄み渡る日には
ゆっくりと/飽和していく
陸の中で/陸をちぎる
海の中で/空も/
ちぎる
ひたされていて/晴れていない
役立たずな運動は繰り返される
狭く/覆われた
実のことなら
男や/女のことを
ほとんど美
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