リヨンの月/aidanico
くて透き通るような白い歯でした)、ホシに一言何か耳打ちをすると、途端にホシは大人しくなり、「じゃあこれも頂くよ」とカードを出してするりと品物を手に入れてしまいました。「待たせたね、ありがとう」と言ってワインを受け取ると、ふたりはそのまま商店街に消えていきました。あとでお釣りを渡すのに気付いて追いかけたのですが、もうふたりは見当たりませんでした。もうすっかり暗くなった空を見上げると、月が僅かに輝いた気がしたのですが、私が瞬きをしている間にいつの間にか雲のなかに隠れていったのでした。
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