祖母の見舞い /服部 剛
 
見守られた幼子の寝顔で 

足音を立てずに 
病室を後にした僕は今 
誰もいない 
七里ガ浜の浜辺に腰を下ろし 
開いたノートに 
「祖母の見舞い」という 
詩を書いている 

ふと顔をあげれば 

潮騒の向こうの  
水平線に浮かぶヨットのように 
思い出は遠のいて 

いつまでも
緩やかに繰り返される 
波のまにまに踊る 
無数の光の宝石 







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