林檎の転生 /服部 剛
 
PC画面の暗闇で 
林檎が独り 
浮かんでいる 

紅い皮の傷口から 
白い肌を晒しながら 

( 昔々、楽園にいた 
( アダムとイヴを誘惑した 
( 私は紅い林檎です  

傷口を開いた林檎は今も時を越え 
場末の路地に生ぬるい風の吹き抜ける
2008年のネオン街を行き交う 
ヒールを履いた女の 
肌蹴た胸の内に転生している 

自らの居場所を探しあぐねたまま 
宇宙の闇の広がりに 
只独り浮かぶ 

紅い林檎 

白い果肉を晒した 
薄い皮の傷口から 
いつまでも語りかける 

冷たい愛の言葉







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