それでも青い。/ナガレ 千景
 
空は青かった。


休日の校舎は閑散としていた。
それが好都合だった。



「なに、その生意気そうな。」
そう言われたから悲しくて、彼女は目を塗り潰した。

「いちいちうるさい、黙れ。」
そう言われたから恐ろしくて、彼女は口を塗り潰した。

「だらだらだらだら、うっとうしい。」
そう言われたから慌てて、彼女は髪の毛を塗り潰した。

「何の役にも立たない、のろま。」
そう笑われたから傷付いて、彼女は足を塗り潰した。

「不器用ね、こんなことも出来ないの。」
そう笑われたから落ち込んで、彼女は手を塗り潰した。

「おい、でかくて、邪魔。」
そう怒鳴ら
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