物語詩「塔と鳥とクレヨン」-first wing-/青の詩人
 
クレヨンかもしれなかった
夜が魔女の笑みを浮かべていた

3、月会い

気がついたら外にいた
周りに何かがいたようだったが
正確には何かつかめなかった
つかもうとも思わなかった

初めて外の空気にふれた
ぼくは肩にこころを乗せていた

月に会いにいこう
こころを渡しても構わない

月行きの馬車が出るのは
100年後と記されていたから
僕は10を白で塗りつぶした
すると蹄と車輪の音が聞こえた


颯爽と現れた馬は
闇と分かぬほどの黒で
そのまま夜にとけたら
月まで一瞬だった

カラカ ラカラ
カラカ ラララ

こころが染まらないか不安だった
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