音速の壁/1486 106
に
願いのような独り言を呟いた
きっと二人の間には見えない壁があって
声が届かないのは離れたせいだけじゃない
どれくらいスピードを上げれば追い越せるかな
素直じゃなかったあの頃の自分を
クラッシュしたレーサーが走馬灯の中で
思い返すのは輝いた栄光の日々
激しい痛みの中で一枚一枚
消えないように焼き付けていく
あともう少しだけ走る力があれば
ためらわずに捨てられる気がするんだ
きっと二人は最初から違う空を見ていて
ただそれぞれの目的地へ歩き出しただけ
どんなにスピードを上げても届かない
当たり前だった頼もしい背中には
きっと二人の間には見えない壁があって
声が届かないのは離れたせいだけじゃない
どれくらいスピードを上げれば追い越せるかな
素直じゃなかったあの頃の自分を
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