ロッカーに転がってた/BOOKEND
近所にあるホントに小さな楽器屋でギターの弦を買って帰った。
張り替えたばかりの弦の感触はいつも嬉しい。
手堅く幸せ気分を味わえる数少ない方法だ。
明日オレは試される。頼むぜ相棒。
そんな感じでペグを回す。はずだった。
しかしそれも今夜は叶わないらしい。
アレー、おっかしいなードコ行ったんだぁ、部屋のカギィー…?
右のポッケー…、ひ、左のポッケー…、
ない。
ナイ。
…うっそーん!やっちまったぁ!!
まぁいいさ。
ボクはキミの扉のカギさえあればそれでね。
言ってるバーイじゃありません、ボケが。
しばらく呆然としてしまいましたが、気を取り直して不動産屋にTEL。
しかし機械的な声が言いました。本日の業務は終了致しました。と。
仕方がない。
これはきっと、あのコに会いに行けって事なんだろうな…。
そんな危険且つアホな解釈で自分を慰めながら、ボクはざわついた秋夜の下をもう1度歩き出したんだ。
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