剥ぐ者/影山影司
レームが格子状に走り、その上にクリアなボードが貼り付けられいてる。
ボードの向こうには、漆黒の風景がねっとりと存在する。低温の世界だ。そういう意味では、ここはまさしく温室といえる。
カプセルを取り出して、前歯で齧る。これをこのまま噛み砕けば、中に蓄えられた特濃の液体が舌の上に垂れるだろう。液体は即座にその化学物質を細胞から脳味噌へ伝え、僕の心を一つの感情に塗りたくるのだ。
ボードの向こうには漆黒の風景がねっとりと存在する。散りばめられた光源は遠く、高音の光を突き出している。
世界は崩壊してしまったよ。
それでも僕は生きている。
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