可逆的であるということ/西日 茜
 
また次の変化に向けて発達を繰り返す。このことは、人間が可逆的でなければ成し得ない。幼児は様々な葛藤を経験し、その反応の過程は類似しているが、記憶や見当識に何らかのズレや異常がある場合、この些細な変化に過敏反応し、パニックを起こすのではないだろうか…。

フラッシュバックが起こる。嫌な経験や恐怖。それを克服するための代償行動として葛藤が起こり、徐々に内なる変化を経験し、やがて昇華され、恐怖は完全とはいかないまでも小さくなっていく。とりあえず健常とされる者たちでさえ、精神は肉体とは切り離され、複雑であるがゆえに不完全だ。肉体は完全に成長を遂げても、精神は相変わらず不安定だ。

このまま、わたくしの精神は成長を遂げずに、モラトリアムな不完全を維持する。そして不完全なまま死んでいくのだと思う。なにも分からないまま…。神になんてなれないのだから、これでしょうがないと思うのだ。
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