減法/
根岸 薫
雨の降る日は
日付のかわるころまで
うしろを向いて
引き算をかさねる
ふるえる
自我を
だれか認めて
(いいですから)
背中の色が
抜けている
記号に吸われて
いじのわるい
ひかりの
曖昧な隙間に
照る
ところまで
天井の
ぬくもりと
ひらくばかりの
差
刺される 差
刺されることを
おそれて
すくなさ
に
内包されるものが
どこかへ
ひいてゆき
骨と筋の
その
傷口にある
まだ見ぬ
あとの
限りまで
戻る
編
削
Point
(1)