減法/根岸 薫
 
雨の降る日は
日付のかわるころまで
うしろを向いて
引き算をかさねる

     ふるえる
     自我を
     だれか認めて
     (いいですから)

背中の色が
抜けている
記号に吸われて
いじのわるい
ひかりの
曖昧な隙間に
照る
ところまで

     天井の
     ぬくもりと
     ひらくばかりの
     差
     刺される 差
     刺されることを
     おそれて

すくなさ

内包されるものが
どこかへ
ひいてゆき
骨と筋の
その
傷口にある
まだ見ぬ
あとの
限りまで

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