星に願いを /服部 剛
 
ビデオデッキにテープを入れて
リモコンの電源ボタンを押した
テレビ画面の中に 
七年前あどけない少女だった君が 
野の花の姿で 
宇宙(そら)から受信する 
言霊を 
小さい唇から 
全国のお茶の間に向けて 
呟いている 

遠い空の下 
大阪の街の何処かで 
今日もひたむきさを胸に秘めて 
職場のペットショップで君は
ハムスターを両手に包む 

一日の仕事を終えて 
家路に向かいながら 
見上げた夜空に瞬く 
四っつの星の「テレビ座」に 
僕が新宿のCafeで 
かけがえのない詩友達に囲まれながら 
黒い小さな舞台の上に独り立ち 
果てない未来の誰かに向けて綴(つづ)った 
詩という名の手紙を朗読する姿を 
送信する

遠い街で君が見上げた星空の 
「テレビ座」に映してほしい 

夜の散歩道に出た僕は 
淡く照らす街頭に独り凭れて 
見上げた 
四っつの星の瞬きに 
そっと 
両手を合わせる。 







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