「涙の数だけ抱きしめて」/長谷川智子
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大好きな色や音に包まれて眠っていたい
内なる声に耳を澄ませ
何かをつかんだ
からだのなかの、おと。
しょっぱなの明るさに反して
不協和音
ストリングス
暗く重たい何か
そんな、ものたち
何か語りかけてきてはいたけれど
ことばつたなくまもなくおぼろげになって書きとめきれず涙を呑んだ
全身駆け巡る謎の不快感
ひょっとして体の中まで饐えてたのか?
そんなころ
突如僕のまえに現れた人影
長袖の白いワンピースが眩しかった
踏切の前で何かを待っているようにもそうでなく突っ立っているだけにも感じられた
ようやっとバーが上を向き始める
ゆるりゆるりと、おもむろに
歩み出す紫のロングスカートと銀のローヒール
キラッと光ったそのとき
!
袖をつまむどころか手を取ってしまいかねない勢いだった
ひとすじの線は
跡だけ残って乾いていた
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